石川邸-旧里見弴邸
この建物は、大正15年作家里見弴が自ら設計に関り、住んだ家です。昭和11年に里見氏が移転した後は所有者がかわり、米軍による接収、ホテルとしても使われた後、現所有者、石川氏の住宅として丁寧に住まわれ、平成6年からは市の重要景観建造物(第8号)に指定されています。
帝国ホテルの設計で知られる建築家フランク・ロイド・ライトの影響を受けていることは、六角形の窓、階段てすり、サンルームの形状からもうかがうことができます。各部屋に吊るされた照明器具も当時のままとなっており、赤いじゅうたんはホテルとして使われていたスタイルを継承しています。
渡り廊下でつながれた別棟は高床式の茶室となっており、四畳半の茶室には炉も切ってあります。萩、竹、葦等の材料で組まれた多様な構成の天井、無双の建具、屋根は茅葺となっています。
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里見 弴(さとみ とん)
里見 弴(さとみ とん 本名:山内英夫)
1888年(明治21)7月14日~1983年(昭和58)1月21日
明治、大正、昭和にわたって活躍した作家里見弴は兄の有島武郎、生馬とともに、芸術家兄弟といわれる。天賦の文才は白樺派の同人達や、師泉鏡花との交流のなかで開花し、生涯にわたる創作活動から数々の名作を発表。
鎌倉文士の代表格とも言われ、小津安二郎とも深く交流していたことで知られている。文筆活動のほかに、演出や絵画にも才能を発揮するなど、多才であった。
代表作には『善心悪心』『多情佛心』『極楽とんぼ』などがある。1959年(昭和34年)文化勲章授章。1971年(昭和46年)『五代の民』で読売文学賞受賞(二度目)。
2008年、小谷野敦氏により初の里見弴伝が刊行された。(小谷野敦『里見弴伝』中央公論新社)
西御門サローネ
現在この建物は、集い、学び、語らうことのできる「大広間 = salone」となることを願って「西御門サローネ」と称し、ご利用の門戸を開いています。貴重な建築資産を維持し、活用に努めるために、収益の一部は建物の維持修繕費に充てられています。